宮創製陶所

宮本 淑博さん

100年の伝統を未来へ紡ぐ
宮本 淑博さん|宮創製陶所
五代目の挑戦

石川県小松市八幡町。この地で1914年(大正3年)に創業した宮創製陶所は、九谷焼の置物素地製陶を専門とする老舗窯元です。

宮創製陶所では、地元・小松市の花坂原石山から採れる花坂陶石を使用した粘土で素地づくりを行っています。

さらに、花坂陶石の残土を再利用したオリジナル釉薬を開発。マットな質感と現代的なカラーリングで、九谷焼の新たな魅力を提案しています。

現在、五代目として舵を取るのが宮本 淑博(みやもと よしひろ)さん。伝統を守りつつも新たな挑戦を続けています。​

時代を超えて愛される型を受け継ぐ

宮創製陶所は、招き猫やふくろうなどの日本人に親しまれる縁起物をはじめ、干支や雛人形などの季節商品、さらにはキャラクター商品の素地など、多岐にわたる製品を手掛けています。

大正から昭和にかけて、九谷焼の置物が人気を集めた時代に生み出された、多彩な型を数多く保有している日本屈指の製陶所です。​

伝統の技術と現代の感性の融合

特筆すべきは、創業当時から受け継がれる「おこし型」や「鋳込み型(いこみがた)」といった石膏型の存在。​

これらの型は、過去の職人たちの高度な技術の結晶であり、現在でも新たな作品づくりに活用されています。

これらの型は、単なる道具ではなく、九谷焼の歴史と文化を物語る貴重な財産となっています。

「正真正銘の九谷焼」であると
自信を持って言えるモノづくりを

産地が異なる釉薬(ゆうやく)を用いて装飾を施したものが「九谷焼」として流通している現状に、疑問を持っていたこともあり、地元小松の花坂陶石を利用した独自の釉薬(ゆうやく)を開発しました。 釉薬(ゆうやく)とは、陶磁器の表面にかけるガラス質のコーティングのことです。 焼き物に釉薬をかけて高温で焼くと、表面がガラスのようにツヤツヤになったり、独特の色合いや模様が出たりします。
宮創製陶所の工房内で、置物素地の製造工程について職人の説明を受ける見学者たち。型が並ぶ作業台を囲み、真剣に話に耳を傾けている様子。

何一つ捨てることなく、
全てを商品開発に活用

花坂陶石の精製過程で生じる未利用資源の残土に金属鉱物を組み合わせる試作を重ねた結果、従来の九谷焼には見られない、独特のマットな質感と豊かな色彩を持つオリジナルの釉薬を開発することに成功しました。

「九谷の地で採れた花坂陶石を素地とし、加飾、焼成されたものこそが正真正銘の九谷焼であると自信を持って言えるモノづくりを追求したい」

強い信念が、新しい商品や技術を開発する原動力となっています。

宮創製陶所の工房内で、置物素地の製造工程について職人の説明を受ける見学者たち。型が並ぶ作業台を囲み、真剣に話に耳を傾けている様子。

令和の福招き
幸運を彩る、九谷焼の招き猫

独自の釉薬開発により、青・赤・黄・白・黒といった基本色に加え、淡いパステルカラーや鮮やかなビビッドカラーなど、幅広い色彩表現ができるようになりました。

このオリジナルの釉薬を用い、九谷焼では珍しいマットな質感と現代的な色彩にこだわった招き猫の新しいシリーズを展開しています。

宮創製陶所の工房内で、置物素地の製造工程について職人の説明を受ける見学者たち。型が並ぶ作業台を囲み、真剣に話に耳を傾けている様子。

こころ旅のツアーでは、オリジナルの釉薬を使い、世界に一つだけの作品を創り出す体験ができます。

多彩な色合いの釉薬を筆に乗せ、思い描く模様を素焼きの器に自由に描く体験ができます。

職人の丁寧な指導のもと、お子様から大人まで気軽に楽しめます。

地元作家とのコラボレーション
未来への展望

宮創製陶所は、地元の若手作家とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいます。

古い型を活用し、美術工芸品としての新たな価値を創出する試みは、伝統と革新の融合を体現しています。

「これまでの100年、これからの100年」という想いのもと、宮創製陶所は伝統技術の継承と新たな挑戦を続けています。​

宮創製陶所では自社開発の釉薬を活用し、原型制作から素地づくり、釉薬による着色まで一貫して手がける体制を整えました。

これにより、構想段階から商品完成までスムーズに進められる点を強みとし、オリジナル商品の展開に加え、雑貨やインテリア業界とのコラボレーションにも意欲を見せています。

宮本 淑博さんのリーダーシップのもと、九谷焼の未来がどのように描かれていくのか、今後の展開に注目が集まります。

 

100年の伝統を未来へ紡ぐ
宮本 淑博さん|Interview

現在、九谷焼の技術継承や販路拡大が課題と言われています。
その点についてどう考えていますか?

宮創製陶所の工房内で、置物素地の製造工程について職人の説明を受ける見学者たち。型が並ぶ作業台を囲み、真剣に話に耳を傾けている様子。

最後に、今後の目標や展望について教えてください。

次世代の九谷焼を担う方々に向けて、メッセージをお願いします。

本日は、ありがとうございました。

宮創製陶所の工房内で、置物素地の製造工程について職人の説明を受ける見学者たち。型が並ぶ作業台を囲み、真剣に話に耳を傾けている様子。

Reservation

予約

九谷焼発祥の地ならではの本格的な創作体験と、加賀温泉郷の名湯と美食の融合。

九谷焼文化の魅力を深く感じてみませんか

 

予約する予約ページへ

加賀でしか味わえない
特別な体験を

旅の始まり、加賀温泉駅

ツアーの出発点は 加賀温泉駅。駅を降りると、加賀の豊かな自然と伝統文化の空気に包まれます。ここから、専用車や観光バスで九谷焼の世界へと足を踏み入れます。

立ち寄りスポット

九谷焼美術館

最初の目的地は 九谷焼美術館。
ここでは、江戸時代から続く九谷焼の歴史や技法を学ぶことができます。色鮮やかで緻密な九谷焼の作品を鑑賞し、職人たちの情熱に触れてみましょう。

魯山人寓居跡「いろは草庵」

「魯山人寓居跡 いろは草庵」は、北大路魯山人が大正4年秋から翌年春までの約半年間滞在した山代温泉の旧居を公開する施設です。当時のまま保存された仕事場や書斎、囲炉裏の間を見学でき、土蔵を改装した展示室では彼の作品も展示されています。この地で魯山人は、初代・須田菁華から陶芸の手ほどきを受け、刻字看板制作の傍ら作陶に励みました。山代温泉は、彼の才能を開花させた場所であり、後年も度々訪れた心安らぐ場所でした。

九谷焼体験ギャラリーCoCo

石川県加賀市にある「九谷焼体験ギャラリーCoCo」は、伝統工芸・九谷焼の絵付け体験ができる人気スポットです。手ぶらで気軽に参加でき、初めての方でもスタッフが丁寧にサポート。色鮮やかな九谷五彩を使って、自分だけのオリジナル作品が作れます。旅の思い出やプレゼントにも最適です。

加賀九谷焼の白い陶器の置物が、木製の床に並べられています。象、獅子、人物など、様々なモチーフの精巧な彫刻が施されています。

宮創製陶所

1914年創業の宮創製陶所は、石川県小松市にある九谷焼の窯元で、干支や招き猫など縁起物の素地づくりを100年以上手がけています。伝統的な「おこし型」や「鋳込み型」による成形技術に加え、地元・花坂陶石を使った独自釉薬の器も展開。近年は書道家とのコラボ商品やキャラクター素地の製作も行い、伝統と現代感覚を融合させた新しい九谷焼を発信し続けています。

加賀温泉郷で癒しのひととき

ツアーの最後は、温泉旅館でのくつろぎの時間。
九谷焼の魅力に浸りながら、加賀の湯に癒される贅沢なひとときをお楽しみください。

2日目 九谷焼を創り、味わう旅

ツアー2日目は、加賀温泉郷の風情ある宿での朝からスタート。

静かな温泉街の空気を感じながら、地元食材を活かした朝食を楽しみ、心身ともにリフレッシュした状態で九谷焼の制作体験へと向かいます。

立ち寄りスポット

シルクロ陶芸 – 九谷焼 上絵付け体験

前回のツアーで成型し、素焼きを終えた自作の器に、九谷焼の伝統技法を用いた上絵付けを施します。

色の重なりや発色の美しさを楽しみながら、世界に一つだけの作品を創り上げましょう。

九谷満月 – ろくろ体験

ここでは、電動ろくろを使った成型体験を行います。

粘土の感触を楽しみながら、職人のアドバイスを受けつつ自分だけの器を作る工程を体験。

土の動きに集中しながら、形を整えていく時間は、まるで瞑想のようなひとときです。

山代温泉 – 作家との交流会

午後は、山代温泉へ移動し、九谷焼作家や職人との交流会を開催。

彼らの制作への想いや技術のこだわりについて話を聞きながら、伝統工芸の奥深さを学びます。

また、作家が実際に手がけた作品を間近で見たり、気に入った作品を購入することも可能です。